よくある誤解と正しい知識

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双子は必ずしも似ていない

「双子なのに似ていない」といった会話を耳にしました。双子というと、どうしても一卵性双生児の印象が強いためだと思われますが、二卵性でも双子は双子です。この場合、必ずしも似ているとは限りません

一度に複数の子が生まれてくることを多胎といい、二人の場合は双胎と呼ばれます。そしてご存知の通り、双子には一卵性と二卵性があります。一卵性は見た目がそっくりですが、二卵性は同時に生まれてくる兄弟姉妹と考えることが出来ます。以下、表にまとめてみました。

一卵性と二卵性の相違点

注1: ここでは、たとえば1%なら、100回の分娩のうち一回が双子だったことを意味します。

注2: 一卵性は偶然の産物なので、人種・環境・時代を問わずほぼ一定の確率で生じますが、二卵性は人種・民族間の差異が大きく、数字に開きがあります。日本の場合、厚生労働省の統計によると2009年に日本で生まれた107万人のうち、双子は2万人(1万組)なので、一卵性と二卵性あわせて約1%の頻度となります。統計からは分かりませんが、おそらく一卵性が0.4%程度、二卵性が0.6%程度であると考えられます。
 補足ですが、二卵性双生児には、女女、女男、男女、男男の四通りがあり、二卵性の約半数が異性の双子になります。

注3: かつては胎盤の数で卵性を判断していたこともあったようですが、これは正確ではありません。一卵性でも胎盤が二つの場合がありますし、二卵性でも胎盤が癒合して一つしか視認できないこともあります。厳密な卵生診断にはDNA検査をするしかありません。

注4: 一卵性であれば常に性別は同じです。なので異性の双子であれば通常は二卵性と考えることが出来ます。(例外については後述)


一卵性双生児の個人識別に関しては、指紋、虹彩、静脈などほとんどの場合で生体認証による識別が可能です。これは、指紋などが遺伝情報のみにより決まるのではなく、環境や偶然性によっても左右されるためです。顔つきにも言えることで、子供のころはそっくりでも、年齢と共に次第に違いが顕著になってくる場合も多いようです。しかし、現在最も確実とされるDNA鑑定で識別できないことは、興味深い事実といえるでしょう。

また、異性の一卵性双生児は極めてまれですが、理論上は可能です。これは男の一卵性双生児として生まれてくるはずの片方が、何らかの理由でY染色体を失うことで起こります。

通常、女性はX染色体を二つ、男性はX染色体とY染色体を一つずつ持っています。「男性化」するための情報はY染色体上にあるため、Y染色体を失った個体は男性にはならず、女性として成長します。ところが、本来なら二つあるべきX染色体が一つしかないため、二次性徴の欠落や低身長などといった様々な特徴が見られることがあります。ターナー症候群と呼ばれ、異性一卵性双生児の場合は、正常な男性とターナー女性の組み合わせになると考えられます。
なお、ターナー症候群自体は、これとは関係なく数千人に一人程度の頻度で生じる染色体異常です。

異性一卵性双生児はごくわずかな症例しか報告されておらず、通常はありえません。異性の双子を見かけたら、まず間違いなく二卵性と思っていいでしょう。


結論: 一卵生はそっくりだが、二卵性は兄弟姉妹程度しか似ない。


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