よくある誤解と正しい知識

よくある誤解や勘違いを科学の視点から分かりやすく解説しています

働きバチはすべてメス

普段私たちが目にするハチやアリは、ほとんどが働きバチ・働きアリですが、実はすべてメスです。意外に思うかもしれませんが、これにはハチやアリの特殊な性決定の仕組みがかかわっています。


例えば、ヒトを含む多くの哺乳類の場合、XとYの二つの染色体(性染色体)で性別が決まります。Xが二つならメス、XとYが一つずつならオスになります。両親から一つずつもらいますが、母親からはXしかもらえないので、父親からもらうのがXなのかYなのかで子供の性別が決定します。

XY型性決定の仕組み

では、ハチではどうでしょうか。実は、オスバチは未受精卵から生まれてきます。半数体といって、遺伝子(の乗っている染色体)を半分しか持っていません。生まれてくるオスバチは遺伝子の全てを母親である女王バチから受け継いでいるため、一種の単為生殖と考えていいでしょう。これに対して、受精卵から生まれるのがメスです。メスバチには父親がいますが、オスバチには父親がいません。

半倍数性性決定の仕組み

受精させない半数体がオスになり、受精させた二倍体がメスになるこのような性決定の仕組みを、半倍数性といいます。オスバチは次の世代に遺伝子を残すためだけに生まれ、巣作りや子育て、えさの調達や巣の警備など、全ての作業はメスの働きバチにより行われます。私たち哺乳類とは性別の定義が違うようなものなので、働きバチがすべてメスとはいっても、その意味は少し異なるともいえます。


なお、アリとハチは区別されることが多いですが、系統的にはアリはハチの一種と考えることができます。スズメバチから見れば、ミツバチよりもアリのほうが近縁なことからも、アリは「翅をなくしたハチ」だと言えるでしょう。

また、シロアリは「アリ」の名前がついていますが、系統的にはゴキブリに近い生き物です。ハチやアリと同じように社会性をもって集団で生活していますが、近縁性はありません。

最後に、古い迷信ですが、ハチ刺されには尿をかける、などと言われることがあります。これは間違いで、ハチ毒がアリと同じギ酸であると勘違いし、さらに尿にアンモニアが含まれると勘違いして、中和できると考えたものです。ハチ毒は酸性ではなく、尿もアルカリ性ではありません。


結論: ハチは受精させるとメスに、させないとオスになる。


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