よくある誤解と正しい知識

よくある誤解や勘違いを科学の視点から分かりやすく解説しています

光より速く動くこともある?

どんなものも真空中の光速度を超えて運動することはできません。
「真空中の」という点は重要で、例えば水中では光の速さが遅くなるため、「水中の」光の速さを超えて動くことが可能です。


真空中の光速度は、正確に299,792,458m/sです。この数値が正確なのは、そもそも光が一秒間に真空中を進む距離を299,792,458mと定めているためです。これが現在のメートルの定義です。

真空中では約30万km/sで進む光ですが、物質中ではこれよりも遅くなります。例えば水中では約22.5万km/s、石英ガラス(光ファイバーなどに利用)では約19.5万km/s、ダイヤモンドの中では半分以下の約12.4万km/sでしか進みません。ちなみに、この違いにより屈折という現象が起きます。

水中での光の速さが約22.5万km/sであるため、荷電粒子(電子など)がこの速さを超えて動くことがあります(もちろん30万km/sよりは遅い)。この時、一種の衝撃波が発生し、光が放たれます。この光をチェレンコフ光といい、この現象はチェレンコフ放射と呼ばれます。

チェレンコフ放射は、有名な例では、ニュートリノを検出しノーベル物理学賞受賞の元となったカミオカンデに使われています。高性能化されたスーパーカミオカンデも原理は同じで、宇宙から降り注ぐニュートリノが施設内部にためられた水の電子と衝突し、電子が水中での光の速さを超えて運動するときに出る青白い光(チェレンコフ光)を検出しています。


また、アインシュタインの相対性理論は「光速度不変の原理」を一つの出発点としていますが、これは「真空中の光速度不変の原理」とすると誤解を招きにくいでしょう。

さらに、観測可能な宇宙の「果て」、約137億光年の距離よりもさらに遠くの天体は、光の速さを超えて地球から遠ざかっています。しかしこれは見かけ上の問題で、実際にはその天体が「周囲の空間に対して」光速を超えて動いているわけではありません。地球とその天体との間の空間そのものが伸びている、と考えられます。

なお、光は重力により曲げられますが、これは重力が周囲の空間を歪め、その歪んだ空間の中を光が直進するために起こります。光は常に、空間内の最短距離を直進します。


結論: 真空中の光の速さは不変だが、物質中では遅くなる。


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コメント

地球の温暖化の通説にやや不安があるのですが、どうなんでしょうか。

  • 2017/05/04(木) 09:08:03 |
  • 中村

科学的な見地から、地球温暖化は疑う余地がありません。人為的な要因がほとんであることもまた確かです。
ただ、二酸化炭素の排出規制などは経済への影響が大きく、科学的というよりも政治的な主張・論争が繰り返されているように思います。怖いのは、政治的理由でなされた温暖化を懐疑する主張が、科学的なものと誤解され、「科学界でも意見が割れている」と勘違いされてしまうことです。

科学的には疑う余地のない地球温暖化が、政治的な論争に利用されている、というのが現状です。

  • 2017/05/06(土) 14:33:17 |
  • 管理者

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