よくある誤解と正しい知識

よくある誤解や勘違いを科学の視点から分かりやすく解説しています

スカイダイビングの最高速度は時速200km

スカイダイビングを自由落下と考えれば、真っ先に思い浮かぶのは、

v=v0+at, x=v0t+(1/2)at^2, v^2-v0^2=2ax

の三つの公式でしょう。この式を使って計算すると、5,000mの高さから飛び降りた場合、パラシュートを開く高度1,000mで時速1,000kmに達します。そんな飛行機みたいなスピードが出るでしょうか?

お気づきの通り、この数値は空気抵抗を考慮していないので、本来よりも大きな値になっています。実際にはここまで速くなりません。それどころか、空気抵抗は速くなるほど大きくなり、ある速さで重力と釣り合ってしまいます。つまり、それ以上は速くならないので、空気中の落下速度には上限があることになります。これを終端速度と言って、その値は物体の形や大きさ・重さなどで決まります。

一例として、両手両足を広げてうつぶせ状態で飛び降りる場合、終端速度は180~200km/hとなります。意外と遅いですね。体を立てて足から(もしくは頭から)降りた場合でも、250~300km/h程度にとどまります。飛び出してわずか数秒~10秒足らずで速さがほぼ頭打ちになり、加速度がほぼ0になるため、実は、スカイダイビングで「フワッ」と感じるのは最初の数秒間だけということですね。

終端速度の他の例を挙げると、野球ボールで約150km/h、テニスボールで約100km/h、鉄球(野球ボール大)でも約400km/hです(いずれも非常に大雑把な数値)。雨粒だと、大きさによりますがせいぜい30km/h程度です。空気抵抗を考慮せずに最初の公式を使って求めると、6kmの高さから雨が降ってきたとして、地上では音速(=1,225km/hとする)を超える勢いなので、いかに空気抵抗が重要かわかります。


なお、宇宙空間など空気が十分に薄い高度であれば、ほぼ公式通りの結果になります。宇宙とまではいきませんが(※)、2012年に達成されたフリーフォールの記録では、高度約39kmから飛び降り、最高落下速度は音速を超える1,340km/hに達したとされています。

※高度39kmは宇宙と言えるでしょうか?
実は、大気圏と宇宙空間には特に境目がなく、上へ行くに従って徐々に空気が薄くなり、徐々に周囲が暗くなっていくだけです。そのため便宜上、高度100kmが境界線と定義されています(カーマン・ライン)。もちろんこの上下で何かが違うわけではありません。ということで、この定義に従えば高度39kmは宇宙ではありません。しかし、気圧は地上の100分の1以下であり、上記の世界記録の映像でもわかるように空も真っ暗なので、「気分は宇宙」と言えるでしょう。


結論: 大気中の落下速度は空気抵抗を考えると必ず頭打ちになる。


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